セネガルに入国すると風景は驚く程に一変する。
モーリタニアとセネガルの国境となるセネガル河を船で渡った後、
対岸のロッソ·セネガルに到着し、入国審査を済ませすぐに走り出す。
(国境付近で外国人に声をかけてくる人達はほぼ100パーセント詐欺師であり、
外貨両替なども、的確なレートが分からないと間違いなくボラレます。)
今までの砂の景色が嘘だったかのように、突然の田園風景が現れた。
田んぼの景色は日本人にとっては心が安らぐもので、
僕に向かって手を振ってくる農夫達に手を振り返しては、
しばらくそんな景色の中でのんびりと一服した。
セネガル河の豊富な水をしっかり灌漑しているからだろうが、
何故同じ事をモーリタニア側では出来ないのか不思議である。
国境を越えた瞬間に国力の差をあからさまに感じた。
風向きはこの上なく素晴らしい追い風で、
一気に110キロ先のサン·ルイと言う世界遺産の町へ走る。
フランスの植民地時代に、奴隷貿易の拠点として作られ、
碁盤の目に整った街並は今もその姿を残してはいるが、
全くもってココが世界遺産に認定されている事が理解出来ない。
いわゆる "負の遺産"の分類なのだろうが、現在は普通の町だ。
建物はいい加減に建造されているのでほぼ朽ちており、
この町がこの町の状態で維持出来る時間は限られているだろう。
町の半分はほぼスラム化しており、治安が良い印象は無い。
風景は情緒があり赴き深いモノがあるのだが、
内海に投げ捨てられて溜まっている大量のゴミからは、
悪臭が漂い、害虫の温床となり水は激しく濁っている。
それでもセネガルきっての観光地と言う事もあり、
フランス人をはじめ世界各国から観光客が集まり、
サン·ルイ島は活気に満ちあふれていた。